IT人材育成に関する諸課題と解決の方向性(報告1)     連載   2011.06.01

昨今、地域銀行では、IT人材の量的、質的不足が大きな問題として指摘されている。しかし、過去において、人材が充分だとする時期はなく、常に不足感を抱きながら、50年以上もシステム化を進めてきた。今後も、同じように不足感を抱く状況が続くと考えるのが自然ではなかろうか。そうとはいえ、ここ数年における悲鳴にも近い不足感というか枯渇感は、どこから発生しているのであろうか。過去と同じ方法で、解決に当たれば良いのであろうか?

こうした問題意識から、限られた調査文献と地域金融機関のIT部門管理職の方々から得た情報を元に、我々の経験と知見を加えて、状況を整理し、原因を推測し、解決方法を模索してみたいと考えた。考察の対象は、地方銀行と第二地方銀行の2業態とする。

(調査分析方法について)

新たにアンケート調査等は行わず公開されている資料・文献を活用する。幸いにも、財団法人金融情報システムセンター(FISC)が、平成21年9月に「地域金融機関IT研究会報告書」を発表している。2年近く経過しているが、状況に大きな変化はないと考えている。また、同報告書には、簡単ではあるが326金融機関から回答を得たアンケート調査結果が掲載されている。こうした調査は他になく、我々の作業でも活用する予定である。他に、某団体が三十数行の地方銀行をヒアリング調査した資料についても分析対象とする。また、社団法人日本情報システムユーザー協会や日経コンピュータなどの年次調査でもサンプル件数は少ないものの、一部金融機関が回答した調査があるので、こうした資料も参考とする。

IT人材問題は、その状況が余り数値化されておらず、また、我々自身に日常的かつ身近なテーマであることもあり、得てして観念的に問題点を把握し、解決案を試行する傾向にある。そこで、過去の常識や前提知識を極力排除して、ゼロベースで問題点を含む現状を把握し、真の解決策を目指すことに努めたい。提示予定の解決策は、検証されたものとはならないが、地域金融機関におけるIT人材戦略の参考になれば幸いである。

各素材から解決策という結論に至る整理手順は、コンサルティング・プロセス(CP)という手法を使用する。具体的には、Factsを収集し、FactsからFindings(個別事象ではなく共通事象や因果関係等)を抽出する。Findingsから仮説(Hypo:Hypothese)作成を通じて問題の影響予測や解決策を仮置きする。Hypoを裏付ける事項を抽出し、Factsから確認するか、更に別資料を求める。FindingsとHypoを同類事項、因果事項等で整理し、Conclusionsとしてまとめなおす。そこには、問題点、その原因、放置した場合の影響、解決策が羅列される。Conclusionsを重要度、緊急度、実行可能性、波及効果などで比較判断してRecommendations(提言)としてまとめる。

Facts-Findings-Hypo-Conclusions-Recommendationsという整理方法は、決め打ちの論理展開になる傾向を持つが、調査作業の効率は極めて高い。知見や柔軟な発想に基づいた質の高い仮説を立てることがポイントとなる。今回の考察で、ベストな整理ができるか確信はないが、将来に渡って仮説を修正し続ければ、より精度の高い実態と効果的な解決策を発見できると考えている。

 

(調査分析および報告のステップ)

  1. FISC報告書の分析を通じたFindingsとHypoの抽出(今回、下記に発表。)
  2. 地方銀行約30行からのヒアリング・レポートよりFindingsとHypoの抽出
  3. 抽出したHypoの検証作業と追加、修正(サブクェスチョンの確認を含む)
  4. ConclusionsとRecommendationsの第一次整理
  5. Recommendationsの地域銀行による評価と修正を経て、提言書を作成

上記各ステップの結果を中間報告の形で順次公表する予定である。作業の過程が見えるので、読者自身が自分の知見を反映して考察し直すことが容易であろう。読者諸氏からのご意見や新たな情報の提供をお願いしたい。

 

報告1.FISC報告書の分析

  • FISCの「地域金融機関IT研究会報告書」平成21年9月版「地域金融機関におけるシステム部門の人材育成」はFISCサイトから購入手配できるので必要に応じて参照願いたい。
  • 項番のFxxはFISC報告書記載の事実認識、SxxはFISC報告書内容で確認が必要と思われるサブ・クェスチョン、Hxxは筆者が抽出した仮説(Hypo)を意味する。

Ⅰ.FISC報告書における現状認識と提言

システム要員数の状況                   平成20年3月時点

   自機関 関連会社 その他常駐SE等  要員数合計
都銀、信託  1,299人   3,348人   8,164人 12,810人
地銀、第二地銀  3,018人   2,253人   2,597人   7,867人
信金、信組  2,152人     286人    353人   2,791人
労金、その他    336人     425人     559人  1,320人
合計  6,804人   6,312人 11,673人 24,788人

F1.地銀、第二地銀で合計7867人が常勤していた。外部要員(関連会社や常駐SE等)の比率が61.6%と全産業平均52.2%に比べて極めて高い。

  • S1-1外部要員数は、非常駐SEを含めない数字であり、金融の場合は自社施設内での作業を求めることから他産業に比べて多めの数値になっているのではないか。
  • S1-2.平成20年3月時点では、三菱東京UFJが大規模なシステム統合作業中であり、外部要員の相当数が都銀にシフトしていたことを考慮すれば、通常はもっと外部要員が多いのではないか。
  • S1-3.調査当時108行あり、1行平均約73名が常勤していたことになるが、平成20年以降約20行が共同オンラインに移行しており、各行で要員数を半減したとすれば、現在では1千名程度減少していることになるか。
  • H1-1独立系開発ベンダーとの戦略的パートナーシップ関係を構築すれば、人材の供給源を確保できる。アプリに強いことと、銀行が逆ロックインし易いからである。

F2.地銀、第二地銀のシステム投資額は、FISCのシステム化アンケート調査によれば、平成11年以降6~7千億円の間を推移しており、開発人材の需要は根強い。

  • S1-4.投資額におけるハード比率は年々低下しているが、それを代替しているのはアプリケーション・パッケージを含めたソフト費用である。ITベンダーにおける金融業界での売上を見れば、開発外注費は若干の減少傾向にある。ただ、単価も下落しているので、人数的な需要は変わらないか、若干の増加傾向にあるといえないか。
  • S1-5.関連会社を含む外部要員約5千名に年1千万費用とすれば500億円となる。総額投資額6、7千億円に比べると余りに少ない金額ではないか。アウトソーシングにシフトしている分、外部要員数が表面的に少なくなっているのか。
  • H1-2.投資対象の業務分野が従来と大きく異なり、導入や運用方法も変わるので、必要なスキルや要員数も根本的に変化している。人材ポートフォリオは勘定系中心から脱却すべきである。

F3.特に求められるITスキルをアプリケーション開発、ネットワーク・データベース設計、セキュリティ、基盤構築、各種ハード・ソフト製品スキルとし、技術の多様化・変化の速度が余りに速いので、5年、10年の長期スパンで技術動向を先読みした情報収集が必要だとする

  • H1-3.ユーザー企業が単独で収集できる情報・スキルには限界があり、コスト効率も低い。外部専門業者の情報を利用して、自社に重要な技術分野を絞り込むべきである。つまり、外部情報を収集、分析、評価する仕組みが必要である。

F4.業務知識の重要性と不足感の深刻さに対し、エンドユーザー目線での業務設計の必要性や先進的IT活用事例を通じた業務改善提案強化を推奨している。

  • S1-6業務知識とは現場の業務手順や画面・帳票設計等のことか、それとも、エンドユーザー・ニーズや事務規定等からプロセス、ルール、データを整理、再設計し、利用部門の同意を得ながら業務仕様書に展開するスキルのことをいうのか?
  • S1-7エンドユーザーと業務用語でコミュニケートできる程度のスキル習得は比較的容易ではないか。スキルよりツールとしての、マニュアルや研修、OJTなどによる習得機会のない業務が増えているのではないか。
  • S1-8.業務改善提案は重要ではあるが、ITドリブンの提案は利用部門受容性が低くないか。しかし、利用部門ドリブンでは、主体的な業務スキル向上の習得が難しいか。
  • H1-4分野別に業務概要と用語を整理し、先進事例を参照できる仕組みがあり、プロセスやデータのモデリング・スキルを保有すれば、業務とITの連携が促進できる。つまり、業務知識とIT双方に通じた人材を確保できる。

F5.サブシステムの多様化と外部委託の増加に伴い、調整・交渉力が求められ、コミユニケーション・マネジメント系研修にニーズが高まっている。

  • S1-9本当にコミュニケーション・スキルが不足しているのか。銀行員であれば、通常レベル以上の当該資質を保有しているのではないか。本当に必要なのは、業務ニーズ(個人的、組織的)とITソリューションのフィット・ギャップ分析や利用部門・システム部門・ベンダー間の落とし所発見に必要なスキルかメソッドではないのか。

F6.システム部門内のローテーションは余り行われていない。少人数で予算と時間の制約もあり、開発、維持管理が属人化し易いためである。

  • S1-10.一個人への属人化を避けるため、3人程度のチーム制で3人分の業務分担ができないか。それは、むしろ優秀な一個人への属人化を進めるか?

F7.業務部門とのローテーションは、7.4%しか行われていない。

  • S1-11.必要性を理解しながらも、具体的に実行しようとしないだけではないか?
  • S1-12.システム部門の要員は、業務部門では活躍できないとの先入観があるのではないか。
  • S1-13業務部門の要員をIT戦力とするには数年の経験が必要だが、その時間的余裕がないか。
  • H1-5システム部門に余裕をみた人員配置を行い、業務部門に半年、一年などの社内出向させることで、ローテーションと同様効果が期待できないか。
  • H1-6短期社内出向先業務部門でデータとプロセスのモデリングを行えば、業務知識習得と業務仕様書作成の一石二鳥となる。

F8.平成20年度FISC[システム化アンケート]によれば、システム要員担当業務は、企画16.7%、開発51.7%、運用31.6%の構成である。その内、外部委託比率は、企画で6.1%、開発31.6%、運用33.2%である。外部人材への依存が高まるとシステムのブラックボックス化、ベンダー依存過多のリスクがあるが、現時点でその心配はない。

  • S1-14.F1の外部要員比率61.6%とF8の外部委託比率に不整合があるが、理由は何か。
  • H1-7システム要員が企画、開発、運用と分割され、部門内ローテーションも余りないとすれば、これら3大機能の連携が難しくなる上、人材育成を阻害する大きな要因となる。また、システム全体を鳥瞰できる人材がいなくなる。

提言1.数年から十数年に一度大規模な更改が必要となるため、その担い手を含めて長期

的な人材戦略の立案が求められる。

  • S1-15長期的人材戦略の必要性は古くから言われている。実施されない理由は何か。
  • S1-16寿命の短いオープン系と長寿命の汎用機系を区分して人材戦略を考える必要があるのか。

提言2.IT人材の可視化が重要で、人材ポートフォリオによる人材管理は始まったばかりである。

  • S1-17人材ポートフォリオを導入している金融機関では成功しつつあるのか。

提言3.人材ポートフォリ管理ではギャップ分析のためにスキル標準が必要であり、UISSを自社用にカストマイズするなどして活用すべきである。三菱UFJ証券ではUISSをカストマイズし、診断のための質問項目作成に数カ月の労力を費やしたが、効果は大きかったとのこと。

  • H1-8.地域銀行版のスキル標準があれば有効なツールとなる。特に業務スキル。

提言4.数年で変化するシステム戦略と長期的人材戦略の整合性を保つことは難しいが、経営陣の理解と人材戦略策定スタッフの配置により長期的人材戦略を検討すべきである。

  • S1-18.有効な長期的人材戦略を立案すること自体が不可能なほど、技術変化が激しく速いのではないか。
  • S1-19.経営陣の理解を得るのは現実的に不可能ではないか。

提言5.PDCAを可能とする人材育成計画を立案すべきである。具体的には、キャリアパス明確化、専門職制度と組み合わせた評価制度、部門内ローテーション、短期転属やシャドープログラムを含めた業務部門との人材交流、OJT体系の整理や外部研修を含めた教育プログラム策定、社外コミュニティを含めた自己啓発機会の提供、新入行員に対するIT研修を通じた適材新人の確保、中途採用の積極化と業務スキル強化策の提供などである。

  • S1-20人材育成計画の必要性は古くから認識されている。それが実行されないことに特別な理由があるのではないか。

Ⅱ.FISCアンケート回答結果よりのFindings

FISCは、当報告書作成にあたってアンケート調査で、システム部門の人材育成に関する問題意識を調査している。地方銀行45行、第二地銀44行が回答した。

質問内容は、下記8項目で、全て選択方式である。(質問により複数選択可能)

Q1.人数、スキルの充足状況

Q2.人材が不足している分野

Q3.人材不足の原因

Q4.人材育成の重要性に対する経営陣の理解

Q5.人材育成計画の状況

Q6.OJT機会の増減傾向

Q7.OJT機会減少の原因

Q8.人材確保に実施している対応策

 

我々の分析では、信用金庫を対象外とした。理由は、従前より勘定系オンラインを共同化しており、情報系やネットバンキング等も業界による対応を進めている為、自金庫内にシステム部門を持たない信用金庫が数多く回答に含まれていること、および、個別金融機関としての問題意識や解決方法が他業態と異なると考えられる為である。

なお、項番にQ,S,Hを付与しているが、その意味は次の通りである。

Qx.は、FISC調査の質問番号で、当分析におけるキー・クェスチョンとの位置づけ。

続く文章は、回答の集計結果で地銀、第二地銀の両業態を合わせての回答数比率である。

Sx.は、回答結果に関して、我々が疑問に感じ、出来れば事実確認したいことである。サブ・クェスチョンの位置づけである。

Hx.は、回答結果等から抽出した仮説(Hypothesis)であり、問題指摘型と解決策指摘型とを含んでいる。

 

アンケート結果からのファインディング

Q1.70%が人数、スキルともに不足、27%で人数は充分だがスキルが不足と回答。

  • S2-1.スキルを技能レベルだけで捉えるか、レベルと量の組合せではないのか。
  • S2-2.人材が充足していると思う時があるのか。どの程度の不足感なら許容範囲なのか基準が必要ではないか。

Q2.不足するスキルは、業務・技術双方の経験知識が86%、オープン系技術が69%、プロジェクト管理が53%、他に業務プロセス改善40%、委託先管理36%など。

  • S2-3.改善すべきスキルの具体的な内容は何か。感覚的に判断していないか。
  • H2-1.上位3種を改善するだけでも大きな効果が期待できないか。
  • H2-2.スキル管理には、より細分化したスキル・カテゴリーが必要である。
  • Q2-2.40代以上のベテランに対する不足感はほぼ皆無、20代で63%、30代で45%と2、30歳代での不足感が大きい。
  • S2-4.全体人数構成における2、30歳代の比率はどの程度か。余りに少ないので、逆に期待レベルが高くなりすぎていないか。
  • S2-5.学習機会が若手に少ないことが、本当にスキル劣化の原因なのか。
  • H2-3.若手の人数とスキル不足が、自律的なシステム化にとって致命的欠陥となることは時間の問題である。(自律的とは、アプリケーションの選定、ソリューションの選択、開発導入運用等において自社ニーズを充分に反映できることを意味する。)

Q3.人材不足の原因を複数回答で求めたが、大きくは3点に集約される。業務・技術双

方に精通した人材は元々希少で外部にもいない64%、技術の進歩が速すぎる(63%)

ことに加えて技術範囲が広くてカバーできない(57%)である。

  • S2-6.アプリケーションを自力開発していないので業務知識が身につかないのではないか。
  • S2-7.業務知識のレベル感はどの程度の粒度で評価しているのか。
  • S2-8.オープン化が技術範囲を分散させ、それに製品寿命の短命化が加わって,進歩が速すぎると見えているだけではないか。アプリケーションの寿命はどうなのか。
  • S2-9.個々の技術進化への対応遅れが問題なのか、それは外部調達で対応できるのではないか。それよりも技術(ソリューション)間の統合化に必要なスキルが問題なのではないか。
  • H2-4.技術の範囲、変化速度にユーザー企業が全て対応するのは本来的に不可能。自社にとって重要な技術に対象を絞るべきである。
  • H2-5.個々の技術進化を深くカバーするのは、ベンダー技術者に委ねるほかない。利用企業には、技術間の統合化スキルとPM能力が重要で。その習得の仕組みが必要である。
  • Q3-2.予想に反して、一般的に言われる人材育成阻害要因としての以下項目は大きな原因としては認識されていない。予算の制約、人事制度の不備、研修機会が少ない、OJT機会が少ない、飛び込み案件が多く計画的育成ができないなどは8~33%。
  • S2-10.制度的制約に対してあきらめているのか、それとも運用でカバーできるのか。

Q4.人材育成の重要性に関し経営陣の理解を得られているかとの質問に、「得られてい

る」が29%、「得られていない」が44%、「どちらともいえない」が27%。

得られていないとの回答率は第二地銀が、地銀よりも12%高い。

  • S2-11.経営陣の理解が得られているとの回答が予想外に多い。第二地銀では一部を除く大半の銀行が、システムの先進性を望まず、大手行追随とベンダー依存を前提にシステム化を進めてきた。つまり、経営陣が重要性を理解していないというよりは、優先度を低く判断しているのではないか。それは合理的な判断ではないか。
  • S2-12.どちらともいえないという回答は、ケース次第ということなのか、または、過去の人材案件に関する経営判断に理由の一貫性がなかったことによるのか。

Q5. 育成計画に関しては、48%が一般職員と共通の育成計画を使用している。つまり、

専門技術が必要な人材としては扱っていない。スキル別レベル別に人材管理を行っているのは22%と少ない。研修計画があるとする回答は29%。中長期的目標があるのは29%だが、経営目標と整合させているのは6%である。この結果、キャリアパスに参考となる育成計画があるとするのは10%だけであった。

  • S2-13.人材戦略、スキル管理、育成計画の重要性は、昔より広く認識されているにも関わらず実践されていない。地域銀行であればシステム部門長が、経営陣や人事部門と調整すれば、実現が難しいことではない。歴代システム部門長の人材問題軽視か不作為が、人材の固定化とシステムの聖域化(ブラックボックス化)となり、経営陣や現場部門のニーズと離反し、システム部門の社内地位低下に至ったのではないか。
  • S2-14.社内におけるシステム部門の位置づけが低く、特化した人事制度・育成計画を実施することが、主流の業務部門復帰を期待するシステム要員に望まれていないのか。
  • H2-6.全職員の2%未満にしか過ぎない人数で、コスト部門とみなされるシステム部門に、特別な人事制度や育成面での優遇制度を導入することは不可能である。

Q6. OJT機会の増減につき質問。減少が58%、増加が11%、どちらでもないが30%である。

  • S2-15OJTはシステム人材育成の柱と考えられており、OJT機会が減少しているにも関わらず、それが人材不足の主原因でない(Q3-2)とは何故か。別の育成策で補完しているのか。OJTでは無理または有効でない対象業務が増えているのか。
  • H2-7.パッケージ利用や外部委託化が進むことでOJT機会が減少することは、自然な結果である。OJT機会は更に減少する。(ただし、Q3において人材不足の原因としてOJT機会の減少を回答したのは29%であり、このことが人材不足感の主原因とはいえない。)
  • H2-8.人材不足感の強い主なスキル分野はオープン系で技術の多様化・短寿命化をカバーできないことと業務知識であった。この分野を効率的かつ効果的に育成強化する仕組みがあれば、問題は大きく改善する。

Q7. OJT機会減少の原因につき質問。アウトソーシング・共同化による内製案件の減少

が62%、指導者不足が56%、現場の多忙が62%であった。

  • H2-9.要員数減少に伴い限られた数の指導者層は、一段と多忙化している。この結果、一段と外部委託化を進めざるをえなくなり、状況は悪化する一方となる。
  • H2-10.Q2の回答から、40歳代以上の人材に不足感は少なく、40歳未満世代の育成が望まれている。仮に実働年齢を55歳までとし、現有40歳代以上人材の平均年齢を45歳とすれば、10年程度でシステム部門としては機能しなくなる。

Q8. 人材確保の施策に関する回答は、長期配属が55%、資格取得者への報奨金54%、

中途採用43%、システム子会社での人材確保34%、新卒採用12%、キャリア選択

制度8%、他部門との積極的ローテーション7%、スキルレベルでの給与体系1%であ

る。

  • S2-16.各施策の効果を推測するデータがないか。
  • S2-17.システム子会社を活用するとの回答が少ないが、システム子会社への期待が低い理由は何か?
  • S2-18中途採用や現有人材の抱え込みと資格取得報奨金などが主たる施策であるが、長期的効果が本当に期待できるのか。
  • H2-11.被雇用人材側から見たキャリア設計や達成感、高モラールを実現する仕組みが必要である。雇用側の都合で考えた前時代的人材管理では、ITの変化には対応できない。

 

                                                       島田 直貴 

(報告2)に続く

2017.12.05更新
2017.12.05更新