米銀シティ PB部門が富裕層の子供向けSNSを計画           2011.02.10

 シティグループのプライベートバンキング部門が、超富裕層の子供向けのソーシャルネットワーキングサイトの立ち上げを計画しており 以下がその概要。 

 

1. 目的と対象顧客

次世代の顧客の開拓が狙いで、2500万米ドル(約20億円)以上の超富裕層の子供が対象。

 

2. サービス内容

金融は勿論であるが、例えば子供達が行ったことのあるレストランをレーティングする等。 証券会社がサマーキャンプを開催するようなことはあったが、Webを活用するのは新たしい試み。

 

3. Webサイト

シティとFacebook、TwitterやFinancial Timesの機能を組み合わせたようなWebサイトの構築を検討。

現時点では、計画であるため具体的なサービス内容はこれから検討されよう。

  

  出所:American Banker 2011/2/3

シティのSNS戦略の評価

 超富裕層を対象とするプライベートバンキングのサービスの特徴は、ファミリー・オフィスと呼ばれ、金融サービス以外にも、別荘の紹介や寄付のアドバイス、また子供に関するサービスとして、留学先やホームステイの紹介などがある。 言わば非常にカストマイズされたサービスを提供するビジネスである。 そのため、一人の顧客に対して、金融機関では不動産、事業継承、有価証券の運用や税務相談等の各分野の専門家が対応しており、Webを前面に出すことは有効と考えられていなかった。 かってNetscapeの創設者が、Webで超富裕層のみを対象にファミリー・オフィス・ビジネスを立ち上げたが、結局うまく行かず事業を売却した。

 今回、シティが計画しているのは、超富裕層顧客の子供がターゲットで、将来の顧客の囲い込みを狙っている。 しかも、金融機関は顧客と1対1の関係ではなく、顧客間のネットワークの構築も同時に狙っている。 これは、前回紹介したTwitterの活用にも共通している。 富裕層は金融機関を信頼しないが、同じ仲間の富裕層から紹介されると信用すると言われている。 この心理をうまく利用しようとしているようだ。 従来のパーティーの開催等によらず、ソーシャル・メディアを活用する戦略は、金融機関のインターネットの活用が、第二段階に来たことを示唆しているといえる。

 

日本の金融機関への適用

 日本でもSNSが普及してきた頃、富裕層に限定したSNSが立ち上がった。 一部の金融機関はこのSNSに参加したが、もしSNSに問題が生じた場合、参加した金融機関が責任を取らなければならないとのことで、積極的な関与ができなかった。 また、参加者を富裕層に限定したため、参加者の人数がそれ程増加せず、顧客間のコミュニケーションが活発に交わされなかったことが敗因と聞く。

 だからといって「ソーシャル・メディアは金融ビジネスに適切でない」と判断するのは早計である。 インターネットによる金融取引は利用者を増やしており、フォロワー機能を有するTwitterや実名登録が原則のFacebook等の新しい機能を持つソ-シャルメディアの活用を検討する時期に来ているのではないだろうか。

 

KK

2019.09.12 更新
2019.09.12 更新