ホーチミン便り

第七回 Nov.12, 2011                                2012/10/09掲載

ベトナムで(とは言っても、ホーチミン滞在中に)感じた食事の関するモロモロ・・・・

 

 食事のとき欧米人は、左手にフォーク、右手にナイフを持ち机の縁に手首のあたりを置き「八」の字のように構えます。 スプーンを使う時はフォーク、ナイフは置いてスプーンのみを使うようです。 フォークは熊手のように構え、もっぱら物を上から「刺す」ことに使います。 ナイフは物を切るとき以外は、フォークを補佐するように使います。

 ベトナムでは食事のとき、「箸、フォーク、スプーン」を使います。(ナイフは置いてありますがあまり使いません。) 麺類のときは左手にスプーン、右手に箸が基本。 高級レストラン以外はあくまでも洋式のスプーン、中華料理のときのレンゲではありません。 ご飯もののときは、人によりクセがあるらしく、米飯を箸で食べる人、フォークで食べる人、スプーンで食べる人、オカズも同様にそれぞれです。 スプーンはよくナイフの代わりに使っているのを見かけます。 ここで欧米人と大きく違うのがフォークの使い方です。 日本人を含めてアジア人の多くはフォークを掬うように「右手」で使いますが、欧米人はスパゲッティとかチャーハンのようなもの以外「掬う」ように使うことはほとんどありません。 あくまでも左手で上から「刺して」使うのが基本、掬うのはスプーンの役割です。

これがフォー
これがフォー

 ベトナムでは、一般のレストラン、食堂でも日本の味噌汁のように何かしらのスープが、日本よ小さめのお椀でついてきます。 ベトナム人はこれをスプーンで掬って飲みます。 日本、中国のようにお椀に口を付けることはほとんど見受けられません。(もちろん、中国でもレンゲを使用するのがマナーなのかもしれませんが、よくお椀を直接口にしているのを見かけます。) フォーなどの麺類のときもスプーンでスープを飲むのが普通です。 屋台でフォーを食べている人はドンブリに口をつけてましたが、日本のラーメン屋ではレンゲを使うところが多いですね?・・・米飯は一般のレストラン、食堂ではほとんどお皿に乗ってきます。 お椀で出されるところはほとんどありません。 これによりフォーク、スプーンを使うことが多くなり、また、お店にとってはお皿の方が洗いやすいからかもしれません。 中国では米飯はお椀で出されることがほとんどだと思います。

ビールとベトナム料理
ビールとベトナム料理

 ベトナム料理・・・とは言ってもおそらくは中国からの影響を強く受け、さらに当然ですがフランスの影響もあるでしょう。 しかし、文化という観点からみると中国、フランスまた日本では料理としての洗練さ・・・材料の切り方、火加減、調味料を入れるタイミングとか料理法、味付け、盛りかた・・・などに基準というか体系があります。 こういう世界とは大きく差があると思います。

 南国でデルタの豊かな水にささえられ食材は、ゲテモノを含め豊富なハズですが、「料理文化として確たる体系があるか」というと、そこまではないように思います。やはり長く混乱が続いていてそのような余裕がなかった、生き延びるのに必死だったからでしょうか。

 お店は、

 

①道路脇に小さなプラスチックのイスとテーブル・・・屋台

②ビル1階の倉庫または駐車場のような薄暗いところに簡単なイスとテーブル、通りとへだてるドアなどなく・・・食堂かなというような感じで、お客がいないと駐車場にイスとテーブルがあるだけのように見える(広さは10人くらい入いる所から100人くらい入るような所まである)

③通りからガラス越しにレストランだ、とわかり入り口がある・・・我々が普通に思うレストランというか食堂というか

④ ③より1ランク上と言う感じがするレストラン 

⑤高級レストラン 

⑥超高級レストラン・・・

 

 ⑤⑥は高そう!と思わせる雰囲気プンプン、お客は欧米人はじめ、韓国、台湾、日本人と子連れのベトナム人金持ち・・・分類するとこんな感じです。

路上レストラン
路上レストラン

 1品の値段が①では20,000~30,000VND(約80円~120円)、②で40,000~80,000VND(約160円~320円)、 ③が②のうえで200,000VND(約800円)くらいまで、 ④で300,000~600,000VND(約800~2,400円)くらい、 ⑤⑥がそれ以上。 当然高級ホテルは⑤⑥ですから、高級ホテルのコーヒー1杯で③のレストランで夕食が食べられます、日本でもそうですね。

 普通の人が食べるベトナム料理といえば、野菜が多く、魚は丸ごと揚げてあるか、煮てあり、肉はほとんどカタく、気を付けないと砕けた小さな骨が残っていて歯茎を傷つけます。 上の分類③、④の多くはこれらが「ひと皿:ワンプレート」で出され、これに上述したスープ、ときにバナナ1本、スイカ1切れ、ライチ5,6粒などがつくことが多いのです。 味はそれほど香辛料の多いものは少なく、日本人にはなじみやすいと思います。

高級レストラン
高級レストラン

 最近増えているのが「日本食レストラン」です。 スシ、ヤキトリ、天ぷら・・・おにぎり、ラーメン、うどん・・・何でもあります。 これらのほとんどが雰囲気は和食屋さん、という外装、内装をしていて、値段は当然⑤⑥。 駐在員と接待されるベトナム人、裕福なベトナム人、欧米、台湾、韓国の方々でいつも混んでいます。 こちらの日本語雑誌によると、魚でもエビ、カニでも高級品はみんな日本へ輸出していて、当地に出回るものは2級品であるため、イイ店は築地から空輸する・・・だから高くなるそうです。 けれど、駐在員、旅行者は人件費、土地建物費用の分が安いから、日本に比べたら安いと感じる?・・・・いや、そんなこと気にしていないでドンドン食べて、飲みますから夕食1回で約1万円ほど使っても気にならないのですが、当地の大学卒初任給が300US$程度つまり2万円から3万円程度ですから・・・・日本人は金持ちだ!と思うのは当たり前です。 最近日本人を狙ったバイクによる「ひったくり」が増えているのも、こういう食事の光景を目の当たりにして獲りたくなるのでしょうか? 身体の大きい欧米人はほとんど被害に遭わないようです。オオカミやハイエナは子羊を狙うといいます。ちなみに殺された人はゼロです・・・。 そこまでしないからイイと言う問題ではないですが・・・・。

路上カフェ
路上カフェ

 政府にお金がないのとは反対に、個人は不思議と余裕があります。 携帯電話は路上の物売りのオバチャン、オジチャンも持ってますし、バイクは一人1台なんて普通。 金持ちの車はベンツ、BMW、レクサス・・・しかも多くは最上車種。 PC、iPad、スマホはカフェで1日中使ってる。 前にも書きましたがカフェではWiFiが使えます。(セキュリティーなんて誰が問題にするものですか!)

 こういうカフェは数限りなくあります。20人~300人入るような大きいもの、庭園のようなところ、大きな木をそのまま店の中に残して、天井は空。 ただしコーヒー1杯が50,000~100,000VND(約200~400円)、これ1杯で短くて1時間長い人は半日、食事しながら新聞読んで、PC使って1日中いる人もいます。 もちろん、あの赤や青、黄色のプラスチックのイスだけの路上カフェ?もたくさんあります。

 とにかく、個人の生活はみんな、みんな余裕!いったい誰が時間とかルールとか作り出したんだ!という感じの人ばかりです。 突然ですがベトナムは金(キン)の個人所有量、世界第2位だそうです。 これを「小さな政府と豊かな国民」と言うのでしょうか? 政治問答は禁物!ここは世界にたった5つの社会主義体制の国なのです。

 

2011年11月12日@HCMC  今福民生

 

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