ホーチミン便り

第九回 Dec.26, 2011                                2012/12/26掲載

オフィスで昼寝
オフィスで昼寝

ベトナムの会社の様子。何年か居ないと、わからないこともたくさんあるでしょうけれど、染まりきらないから気が付くことも多くあると思います。前に書いたことと重複する部分が多いと思いますが、その点はご容赦ください・・・・・

 

  • 始業、就業の時間はハッキリ決まっているといっているが・・・個々人が自由に調整している。(日本でもIT系Web系、マスコミ関係は昔から?・・・・・・・)
  • カレンダーは職場にほとんどない(壁はもちろん机の上にも・・・PCで管理してる?)
  • 組織図がない?(あるかもしれないけど見たことある人いない) 「直属の上司だけ知ってれば十分、なんでそんなことを知りたがるのか理解できない」と言われたので命令系統と職掌の関係を知りたいので・・・」と言うと「あなたに何の関係もない、上司が仕事を指示するからそれをやればイイ!」と言われてしまった。
  • 朝も夕方も取り立てて挨拶しない・・・目が合うとニコッとしたり、Helloと言ったりしてくれるが、オハヨーと言ってオフィスに入ってくる人は皆無。いつの間にか机の前に座っていて、いつの間にかいなくなっている。(ほかの国でもままある)
  • 昼休みは適当に11:45~13:15くらいに食堂でとる。(工業団地なので外には何もない)
  • 昼休み、食堂へ向かう最後の人は必ずオフィスの照明をスイッチオフする。昼ごはんが終わった人はイスに座って寝ている、もっと本格的な人はイスを横にどけて床にビニールシートを敷きヨットパーカーを頭からかぶって、横になって寝る。照明を消したオフィスの床に死体のように机の下に横たわっている・・・女性の80%くらいは昼寝をしているようです。
  • 13時に大きな音楽が鳴り響いて照明が点灯し起こされるが、パッと起きる人はいない、5~10分モゾモゾしてから起きる。
  • 女性はオフィス内をハダシで歩く人をときどき見かける。ハダシでイスの上に胡坐をかきキーボードをたたいている。スカートの中身が見えそうな人も・・・・・(ミテマセン!)
  • 女性の80%は日本のOLに近い服装、髪型、残り20%はTシャツまたはポロシャツにジーパン、ゴムゾウリ。
  • 男性は逆で20%の人が長袖または半袖のシャツに普通のズボン、80%の人がTシャツまたはポロシャツにジーパン、ゴムゾウリ。実にシマリガナイ・・・ような感じを受ける。
  • 時々誰かが歌を歌いだしたり、ギターの練習をはじめたり・・・自由な雰囲気!(六本木に多いWeb系の会社はこんな雰囲気があったような気がする・・・)
  • 退社時に机の上を整理していくという習慣がなく、今そこで仕事してました・・・という状態のまま帰る。PCの画面は消すが本体のPower Offはしない(深夜updateがある?)。
  • 人の電話は決して取らない、5分くらい鳴り続けていても。
  • 講堂または食堂で何かのイベントがあると全員が出て行ってオフィスに誰も残らない(入り口のドアはセキュリティ・ロックがかかる)急に全員が1~2時間も席を外しても誰も困らない!
  • 難しいことが起きた場合は速く手を引く。ババ抜きと同じ、理由なんかどうでもよく早く自分の手を離れればよい、後は知らない。
  • 原因の追究なんて面倒なことは考えもしない、手直し、修繕まで。インスペクション、検査はそれをやることになっているからやるので、キチンと検査したら「やり直し」などが必要となり面倒を背負い込むから・・・・ということで。
  • 悪いニュースはなるべく最後まで表に出さない。途中で解決するかもしれないことを先にみんなの前にさらけ出してことを荒立てたくない。(こういう考え方もある)
  • 幹部会議で、売上げが昨年比25%も増加したとみんな拍手拍手。ある日本人が数字をよく見ると契約件数、工数が増加したのではなく、円建て契約のための為替差益でしかないとわかり「ビジネスの本質を考えないと・・・」と言いかけた途端、みんなが喜んでいるのに水をさすようなこというな・・・(とまでは言われなかったが、それに近い雰囲気でマアマア・・・ととりなされたとのこと) その後、この本質については今だに話そうという声は上がらない・・・・
  • 開発センター行きの朝の通勤バスの発車時刻が突然、前の日の午後にメールで通知される。発注先の日本から来た短期駐在者や、私のような社員でない人には社内メールがないからカウンターパートの人が教えてくれない限り、わからずじまい。次の日にまた時刻と集合場所が変わり来ない人、来れない人が多くいたが、誰も気にしない。文句を言う人もいない。(いないらしい)
  • 誰かが仕事をまとめたり、リーダーシップをとって回しているということは感じられない。みんなが事務処理をしてる・・・人の仕事の内容までは誰も関心がない。
  • 単純な事務上の間違いを何度も繰り返す。きちんと聞いていないのか、間違えを指摘されたことさえ忘れて、前と同じように処理をしてしまうのか・・・不可解!ニッコリ微笑んで「ハイ、わかりました。もうわかりましたから(次からは)チャントやります!」と何回も言われる。はじめのころは素直でイイ子だと思っていたが・・・(開発関係の方:もちろん日本人said)
  • みんな若く、屈託なく、やたらと明るく・・・必死で何かに取り組んでいるというより、鼻歌しながら、軽いノリで仕事している(将来に不安なんかない?)
  • 会社の入り口には社内旅行やサッカーの試合、ボランティア活動のときのスナップ写真がはりだされていて、そのしぐさ、ポーズが高校の掲示板のような感じ。
  • 事業部長、本部長クラスの人が新たに着任となると、顔写真入りの選挙のときのノボリのようなものが入り口、廊下などにハタめく。そこには「われらの新しいボス、イラッシャイみんなで歓迎します!」と書いてあるらしい。(私はベトナム語が読めない)
バイク・バイク
バイク・バイク

以上は感じたまま、聞いたままを書いただけです。これから国の、会社の体制、規律を作っていくことでしょう。東南アジアの国々はみなこの「国としてのアーキテクチャーがない、作れていない」ような感じを受けます。中国、韓国、日本などはまがりなりにも、欧米とは違ってはいるもののそれぞれのアーキテクチャー」はあったような、大分ひどいとは言いながらも今もあると思います。

 バイクの運転状況はその象徴です。交差点は「イチョウの葉」が4枚むきあったような感じでバイクが広がり交差点から20メートル以内の歩道もバイクが乗り上げていっぱい。立錐の余地がない、と思うようなこの混雑の中を、ビービー警笛を鳴らしながら逆走してくるものもいる。歩道を歩いいているとバイクがエンジンふかし、警笛を鳴らして歩行者をどける・・・運転手は若い女の人やおじさんだったり、普通の生活の中で我を主張して喧嘩するような人にも見えない人々ですが、大勢の流れに乗って少しでも有利に・・・と無意識に行動するのでしょう。チョットしたスキがあれば、バイク、タクシー、バス、トラック・・・なんでも列に割り込みます。不思議なのが、まったく喧嘩は起きない、言い争いもない、割り込まれても・・・

 雨が降った直後のロータリーのある交差点は、見ていて飽きないところです。あらゆる乗り物があらゆる方向に向かって、3センチ、5センチとジリジリと進みます。あるタイミングで自動車が列に割り込むとその陰にバイクがワーッと入り込みます。こうやって30分以上も無秩序に、でも整然と???誰もわめいたりせず、無言で、バイクと自動車のエンジン音、警笛音それに激しいスコールの雨音・・・・ここだけをアップしてみると一人一人の人生を想像させるような映画のワンシーンです。

 

ではまた!あと1回で終わりです。

 

 

2011年11月26日@HCMC 今福民生 

 

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